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またたび日和

ヲタクで、悩める学生による、自己満足のための日記
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其ノ弐 


1万ヒット御礼企画☆第二弾です。
第一弾は10月28日の記事となっております。
カテゴリの「1万ヒット御礼企画」を選択してくれれば、一発ででてきますw


追記からどうぞ!



 ~お姉ちゃんと弟~



 おつかいを頼まれた。
 お母さんに「お姉ちゃんなんだから、夏郎をよろしくね」と言われている。視線を隣に移すと、わたしと手をつないで楽しそうにニコニコ笑いながら夏郎が歩いていた。
 泣き虫だから、手を離して迷子にでもなったとたん大騒ぎだ。わたしはしっかりと夏郎の手を握りなおした。
 「夏郎、お姉ちゃんの手、離しちゃだめだよ」
 「うん!」
 やっぱりニコニコと笑顔で返事をする弟に少しの不安を覚えながら、スーパーへとつづく坂道を下りて行った。

   
    *         *

 スーパーは別段、家から遠い場所にあるわけではない。 だけど子供にとっては大冒険と同じくらいドキドキするものなのだ。昔にも一人でおつかいを頼まれたことがあったが、近所のお豆腐屋さんなんかがせいぜいいい所で、坂を下ったスーパーは一人で行ったことも、ましてや弟を連れていったことすらない。
 しかも夏郎にとって、これが初めてのおつかいなのである。
 「夏郎、おトイレ大丈夫?」 
 家を出てからずっと黙りこんでいる夏郎が心配でわたしが気を遣ったのに、夏郎は「ううん。お姉ちゃんトイレ行きたいの?」と言ってきた。
 「レディに『トイレ行きたいの』なんて聞いちゃいけませんっ」 
 「れでぃ?」
 「お姉ちゃんみたいな女の人のこと」
 「ふぅん…」
 大して興味のないような返事だった。これだからお子様は・・・。

 やっとスーパーが見えてきてしばらくしたころ、急に夏郎が声を上げてわたしの腕を引っ張った。
 「あ、お姉ちゃん見て見て!!」
 「何よぉ……」
 見てみると、スーパーの外に着ぐるみが立っていた。薬局のマスコットキャラクターである。これがまた何とも憎めない顔をしていて、子供たちの間では好評なのだ。
 「握手してきたかったらしておいでよ。お姉ちゃんここで見てるから」
 「うん!」
 元気よく駆け出して行く夏郎は、すでに着ぐるみの周りに集まっていたちびっ子と一緒になって体を触ったり、尻尾を引っ張ったり、握手してもらっていた。そしてニコニコと笑顔でわたしの方に駆けて戻ってくる。
 なんとなく、(あー転びそうだなー)とか考えていると、案の定盛大に転んだ。
 「夏郎、大丈夫!?」
 慌てて駆け寄ってみると、地面に手をつき損ねたのか、手から血が出ていて、膝も強く打ちつけていた。
 だけど夏郎は涙をためた目をしきりにしばたかせて「大丈夫」と消え入りそうな声で、それでもはっきりと答えた。
 わたしはそんな夏郎に違和感を覚える。
 (前はすぐに泣いていたのに……)
 なんとなくムカついて、血が出ているところを強く触ってみると、耐えかねたように夏郎の目から涙がこぼれた。
 そうだ、これでいいのだ。
 わたしは少し安心したけれども、鼻をぐずぐずと啜りながら大粒の涙をこぼす夏郎は泣き声を上げなかった。
 
 見かねた着ぐるみが、夏郎に絆創膏をくれた。
 着ぐるみが夏郎の頭をなでると、夏郎は涙でぬれた顔で笑った。


   *       *

 
 「買うものはこれだけだよねぇ・・・?」
 わたしが呟くと、期待していなかったのに夏郎が「うん」と返事をした。

 なんとか頼まれたものを買って、夏郎とわたしは来た道を戻り始めた。
 スーパーの前には、着ぐるみの姿はもうない。集まっていた子供たちもその親も、いつの間にか消えていた。夏郎の膝と手の絆創膏だけが、着ぐるみがいたことの証明できるものだという気がして、なんとなく寂しかった。
 「お姉ちゃん、荷物、おれがもつ!!」
 そう言ってわたしの手から荷物を奪い取ると、手をつないでいない方の手で持った。
 「大丈夫?重くない?」
 「平気だよ。だって、おれ、男の子だもん」
 そう言ってわたしをまっすぐ見返す目は、なんとなく、またわたしを苛立たせた。
 (泣き虫のくせに・・・・)
 わたしはわざと歩く速さを少し上げた。

 すっかりおじいちゃんに鍛えられたのか、夏郎は音を上げずに家まで荷物を運んだ。
 「ありがとう。夏郎も頑張ったわねぇ」と母に褒められてデレデレしているくせに、一丁前に男の子ぶったわたしの弟。おじいちゃんにしごかれて、すぐに泣きだす。すぐに泣くことに怒られて、唇を噛んで、必死に涙を抑えるのだ。
 (・・・今日はちょっと、意地悪しすぎたかな)
 少し反省してやることにした。弟の頑張りを、わたしはほんのちょっと認めてやろうではないかと思う。
 
 だってわたしはお姉ちゃんなんだもの。


 


 *あとがき*
前回のなっちゃんはこれより1,2才小さい感じです。
なっちゃんは幼稚園の年中さんから「おれ」って言えばいいと思いますww
そしてそれにお母さんは「可愛くなーい」とブーイングしてればいいんだ!!(何
お姉ちゃんはなっちゃんよりけっこう年上ですよねww

突然ですが、わたしの妄想ではなっちゃんの好物はカルピスとアイスです。
夏!!←
 

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職業:
学生
趣味:
読書・アニメ鑑賞
自己紹介:
雑食過ぎてジャンルがまとまらないヲタクです。
最近はポケモンにハマっています。
ポケセンが家から徒歩30分くらいにあればいいのにとか毎日考えてます。

更新停滞気味。
コメントはアダルトにイラッとしたので受け付け停止中です。ご了承ください><

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